フェルミ推定 例題 「シカゴのピアノの調律師の数」

「シカゴにピアノの調律師は何人いるか?」

 

この問題は、フェルミ推定の問題の中でも、最も有名なものの一つです。

 

という問題を、フェルミ推定してみてください。

 

以下で解説していきますが、まずは自分の頭でやってみましょう!

フェルミ推定する対象の分解1

以下、フェルミ推定の例題の解説を行っていきます。

 

一般的なフェルミ推定の解説とは違い、なぜそう解くか?に着眼してかなり詳しく解説しているので、

 

解答の道筋を何度もたどって、思考を身に着けてください。

 

 

「シカゴにピアノの調律師は何人いるか?」をフェルミ推定するにあたり、

 

最初にフェルミ推定する対象を分解していきます。

 

まず、

 

シカゴのピアノの調律師の数=(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数÷(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当たりが調律する回数

 

と分解できます。

 

シカゴのピアノの調律師の数を求める際には、単純に考えて、必ず彼らの調律回数が必要になります。

 

そして、その調律回数は、ピアノの数によって決まるでしょう。

 

よって、このような形にフェルミ推定する対象を分解することができます。

 

さらに、それぞれのピアノ一台あたりで、何回調律が必要になるか?という情報が必要です。

 

 

この「何回」というのは、時間あたり、何回か?ということですので、計算しやすいように、

 

右辺は、分母・分子ともに「一年間で一定倍」しています。

 

このことについては、フェルミ推定で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。

 

なぜ一年間で一定倍しているのかというと、ピアノはそう頻繁に調律するものではないと予測したからです。

 

ピアノは感覚的に、そう頻繁に調律するものではなさそうなので、一年間当りの調律回数が計算しやすそうです。

 

例えば他にも、「一分当りの回数」、などでも、もちろん計算することができますが、

 

これだと、一分当たり、数十回、数百回、となってしまう可能性が高く、計算しづらそうです。

 

したがって、適度な回数となりそうな、「一年当りの回数」としたのです。

 

 

何倍で一定倍するかは、フェルミ推定する対象によって異なります。

 

例えば、「コマが回る回数」などであれば、時間を「一年当り」よりも、「一秒当たり」の方が計算しやすそうですよね?

 

「一年当りの回数」だと、桁数が大きくなってしまい、非常に計算しにくいと思われます。

 

このように、何倍で一定倍するか、は、フェルミ推定の対象によって異なるので、毎回、適切な設定を考えましょう。

フェルミ推定する対象の分解2

続いて、

 

(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数

 

をさらに分解していきましょう。

 

これは、

 

(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数=シカゴのピアノの総台数×(一年間の)ピアノ一台が調律される回数

 

と分解できます。

 

これについては、ごく当たり前の変形と言えますね。

 

これも、先ほどと同様に、計算士しやすいように、一年当りの数で計算しています。

 

さらに、シカゴのピアノの総台数は、明らかにシカゴの人口に依存するので、

 

シカゴのピアノの総台数=シカゴの人口×ピアノの保有率

 

とできるでしょう。

 

よって、

 

(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数=シカゴの人口×ピアノの保有率×(一年間の)ピアノ一台が調律される回数

 

となります。

 

 

 

 

さらに、

 

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当たりが調律する回数

 

も分解していきます。

 

これは、

 

(一年間の)シカゴピアノの調律師一人当りが調律する回数=(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数÷シカゴのピアノの調律師の数

 

と分解できますが、

 

これでは、求めたい対象「シカゴのピアノの調律師の数」が、計算式の中に入ってしまっています。

 

これを「シカゴのピアノの調律師の数」をフェルミ推定するためには、

 

(一年間の)シカゴピアノの調律師一人当りが調律する回数を、「シカゴのピアノの調律師の数」に依存しない方法で算出しなければなりません。

 

 

(一年間の)シカゴピアノの調律師一人当りが調律する回数に、どこかで物理的制限は無いか?と考えてみると、「一日は24時間」という「時間的制限」を用いると、上手く行きそうです。

 

なぜなら、物理的制限には、他に、距離、大きさ、重さなどがありますが、これらはピアノの調律回数と関係が薄く、良い物理的制限になりそうでないからです。

 

「時間」というのが、最も良い物理的制限であると予測できます。

 

したがって、

 

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当りが調律する回数=(一年間の)ピアノの総調律時間÷ピアノ一回の調律にかかる時間

 

と分解できるでしょう。

 

 

差し当たって、この辺りまで分解しておけば上手くフェルミ推定できそうです。

 

後で推定が難しそうな部分があれば、その時点で、さらに分解すれば済みます。

各要素のフェルミ推定 

これまでの過程で、

 

シカゴのピアノの調律師の数=(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数÷(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当たりが調律する回数

 

 

(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数=シカゴの人口×ピアノの保有率×(一年間の)ピアノ一台が調律される回数

 

 

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当りが調律する回数=(一年間の)ピアノの総調律時間÷ピアノ一回の調律にかかる時間

 

 

と分解できました。

 

したがって、

 

・シカゴの人口

 

・ピアノの保有率

 

・(一年間の)ピアノ一台が調律される回数

 

・(一年間の)ピアノの総調律時間

 

・ピアノ一回の調律にかかる時間

 

が分かれば、「シカゴのピアノの調律師」の数をフェルミ推定することができるわけです。

 

続いて、これらの分解した各要素をフェルミ推定して、数値を求めていきましょう。

 

 

シカゴにピアノの調律師は何人いるか? シカゴの人口

「シカゴの人口」をフェルミ推定していきます。

 

シカゴは(Chicago)アメリカ合衆国イリノイ州にある大都市です。

 

アメリカの州の大都市、ということが分からないと、つらいかもしれませんが、これは元の問題がおそらくアメリカで作られたものなので、

 

この知識は知っていて当然、という感じなのでしょう。

 

アメリカ人にとってシカゴのポジションは、日本の東京や大阪、といった感じなのかと思います。

 

フェルミ推定を行うにあたり、一般常識的な数値は、普段から記憶していった方が良いでしょう。

 

 

前置きが長くなりましたが、本題に移ります。

 

最低限、シカゴはアメリカの大都市であるということを知っている前提で、以下、シカゴの人口のフェルミ推定を行っていきます。

 

 

まず、イリノイ州の人口を求めてみます。

 

アメリカは50州からなる、ということはほとんどの方が知っていることでしょう。

 

これは、一般常識の範囲内です。

 

アメリカの人口は、3億人ですので、だいたい、どの州も同じくらいの人口だろう、という予測の元で、これを50で割って、イリノイ州は600万人と推定します。

 

ここで、さらに、イリノイ州が、アメリカの州でも比較的大きな州である、という知識がぼんやりとでもあれば、単純な比率よりも多いだろうな、ということで、1000万人とできるでしょう。

 

イリノイ州が1000万人で、その中の大都市であるシカゴの人口は、下限は100万人、上限は500万人と推定して、相乗平均をとって、シカゴの人口を250万人としてみます。

 

ちなみに、フェルミ推定で問われる固有名詞は、多くの場合、メジャーなものであるということも覚えておくと便利です。

 

なぜなら、フェルミ推定は、そもそも、知識よりも論理的思考力を問うためのものであるので、

 

マイナーで、知っている人が少ないような固有名詞を使ってしまっては、問題としての意義が損なわれてしまうからです。

 

そのため、「シカゴ」などという土地名の固有名詞がフェルミ推定の問題で出題されたら、

 

知らない場合でも、大都市であると思ってフェルミ推定すると上手くいくことが多いです。

 

 

ここで、「アメリカの人口知らないよ」

 

という人は、関係のあるものから推定していきましょう。

 

日本の人口は一億ということは知っていると思うので、アメリカの人口はそれよりも多いだろうな、ということは分かると思います。

 

日本の人口を知らなければ、自分の住んでいる

 

さらに、中国やインドが人口がトップクラスに多くて、10億人以上いたなぁ、という知識があれば、

 

下限を1億、上限を10と推定して、相乗平均をとり、アメリカの人口を3億と推定することができます。

 

 

このように、自分の頭にある知識を総動員して、フェルミ推定する対象に関係のある要素を思い出して推定していってください。

シカゴにピアノの調律師は何人いるか? ピアノ関係

・ピアノの保有率

 

ピアノを保有している人は、個人、学校、ホール、音楽スタジオ、協会などが考えられますが、

 

個人のピアノの保有の割合が明らかに多いと推測できるので、これを計算すれば済みそうです。

 

フェルミ推定を行うにあたり、細かな数値をいちいち考えないのが重要で、何が重要か、と判断する目が必要とされます。

 

ピアノは、1世帯で複数持っていることは希であると常識的に考えられるので、世帯数当りで計算するのが良いと分かります。

 

一人暮らし、核家族、祖父母も一緒に暮らしているなどありますが、一世帯およそ3人くらいと推定します。

 

 

世帯当りに、ピアノが何台あるか、ということですが、これは、自分の経験、近所の家庭や、友人の家庭などにピアノがあったかなどを基に推定してみましょう。

 

ピアノの保有率は、日本でも、アメリカでも、同じ先進国なので、それほど大きな違いは無いはずです。

 

下限は20世帯に1台、上限は10世帯に1台と推定して、15世帯に一台と推定します。

 

以上から、3×15で、約50人当たりに一台なので、保有率は2%と推定します。

 

 

 

 

・(一年間の)ピアノ一台が調律される回数

 

これは、良く分からない人が多いと思いますが、それほど多くなさそう、という予測が立つと思います。

 

鍵盤が数十あるものを、頻繁に調律していたら、大変だからです。

 

よって、年に1回程度と推定します。

 

 

 

・(一年間の)ピアノの総調律時間

 

これは、ピアノの調律師が、一日平均8時間、週休二日で働いたとして(これで大きな誤差はないはずです)、

 

年間250日、合計2000時間と推定します。

 

ピアノの調律には腕前が関係するでしょうが、あくまでフェルミ推定は平均値から算出するものなので、考慮する必要はありません。

 

 

 

・ピアノ一回の調律にかかる時間

 

ピアノ一回の調律にかかる時間=ピアノの調律そのものにかかる時間+移動時間

 

です。

 

ピアノの調律そのものにかかる時間を推定してみます。

 

ピアノには、鍵盤がたくさんあることは、皆知っていると思います。

 

正確な数が分かるに越したことはありませんが、100個と推定すると、一つ当り1分とすれば、1時間40分、2分とすれば、3時間20分です。

 

 

また、ピアノは重いので、ピアノの調律師がピアノのある所まで移動しなければならないことが分かります。

 

よって、移動時間も必要です。

 

移動時間は、遠い所は別の調律師が調律すると考えられるので、往復2時間程度と予測します。

 

シカゴは大都市(先ほどの推定からも)であり、交通網が発達しているであろう、という予測から、やや短めに推定しても良いでしょう。

 

以上より、一回の調律あたり、調律そのものの時間と、移動時間を足して、4時間と推定してみます。

フェルミ推定の完了

シカゴのピアノの調律師の数=(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数÷(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当たりが調律する回数

 

 

(一年間の)シカゴのピアノが調律される合計回数=シカゴの人口×ピアノ保有率×(一年間の)ピアノ一台が調律される回数

 

 

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当りが調律する回数=(一年間の)ピアノの総調律時間÷ピアノ一回の調律にかかる時間

 

に、得られた数値を代入して、

 

シカゴのピアノの調律師の数=250万×2%×1回÷(2000時間÷4時間)
                =5万÷500
                =100人

 

となります。

 

どの本やサイトでも、シカゴのピアノの調律師の数のフェルミ推定値は100~200人前後に収まっているようですから、この数値も許容範囲内でしょう。

 

フェルミ推定は、数値一致そのものに意味があるのではなく、その推定の過程にこそ意味があるので、

 

50人とか、500人とかの多少のずれは気にすることはありません。

 

推定値が、1人とか、1万人とかだったら、推定の過程に論理的におかしい所がある可能性が高いですが。

 

実際の面接でも、フェルミ推定の結果ではなく、フェルミ推定の過程を重視されます。

 

 

このサイトでは、どのようにして計算式を立て、どのように推定していくかの過程を、かなり詳しく解説しています。

 

フェルミ推定の過程を自分で細かく分析しながら、フェルミ推定問題を解くコツを掴んでいってください。

補足 別ルートからのフェルミ推定

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当りが調律する回数

 

を、別のルートからフェルミ推定してみましょう。

 

先ほどは、

 

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当りが調律する回数=(一年間の)ピアノの総調律時間÷ピアノ一回の調律にかかる時間

 

という形に分解しましたが、

 

 

(一年間の)シカゴのピアノの調律師一人当りが調律する回数=シカゴのピアノの調律師の年入÷ピアノの調律一回当たりの報酬

 

と分解しても良いです。

 

仕事は、生活のために行うのが基本なので、生きていく上で必要な金額、というところから、物理的な制限がかかるからです。

 

先ほどは、時間による物理的制限でしたが、今度は、金による物理的制限を用いている、ということです。

 

 

ピアノの調律師の年収は、専門性があるので、それほど安くなく、また、儲かる職業である、ということもそれほど聞かないので、それほど高額ではないだろう、という感じに、

 

関係するその他の職業から推測して、年収5万ドルくらいと推定してみます。

 

また、ピアノの調律一回あたりの報酬は、先ほど推測したように、作業時間もある程度かかりそうで、ピアノの調律が訪問型の仕事で移動時間もかかるものなので、

 

それほど単価は安くなさそうです。

 

ですので、下限を50ドルとしてみましょう。

 

また、ピアノの調律師は、それほど高級取りではないだろう、という予測から、上限を200ドルとしてみます。

 

例えば、ここで一回あたり500ドルとすると、一日に1回ピアノの調律を行えば、月収1万5千ドルとなってしまい、かなりの高級取りになってしまい、不自然だと分かると思います。

 

計算してみて、常識的に考えておかしくないか?ということは、フェルミ推定において常に意識しておくべきことです。

 

 

以上より、50ドルと200ドルの相乗平均を取り、ピアノの調律一回当たりの報酬を100ドルとなります。

 

これらの数値で計算してみると、先ほどと同様に、回数は500回となります。

 

フェルミ推定では、自分の知識の範囲内で、より正確に推定できそうだな、というルートを選んでいくのも重要です。

 

フェルミ推定に時間をかけられる時は、複数のルートからフェルミ推定することで、より正確なフェルミ推定が可能となります。

関連ページ

投資が安定して稼げない究極の理由
株・FXなどの投資が安定して稼げない理由を解説。株・FXが安定して稼ぐことが非常に難しい理由を論理的に解説。
仲良しグループも良いけれど・・・
仲良しグループというものがあります。気が合うもの同士で集まったグループのことです。この仲良しグループの問題点について指摘していきたいと思います。
無意識の記憶を制御しよう
無意識の記憶について。無意識の記憶を制御することは非常に大切です。無意識の記憶が重要とされる対象と、そうでない対象を区別して、無意識の記憶を制御することで、問題解決能力が高まります。
フェルミ推定・例題 「電柱の数」
フェルミ推定の例題を解いて、ロジカルシンキングを身に着けましょう。今回は、有名なフェルミ推定の問題である電柱を例に、フェルミ推定の練習をしていきます。
ABテスト(スプリットテスト)
スプリットテスト(AB)について詳しく解説。スプリットテストは、問題解決の初歩と言えるものですが、正しく理解して使えている人はほとんどいません。スプリットテストを正しく理解して問題解決能力を向上させましょう。