抽象化の具体例 「ガスのにおい」

知識の抽象化について、具体例を通して、理解を深めていきましょう。

 

あなたは、「付臭」という言葉を知っていますか?

 

付臭とは、本来、無臭である各種ガス、天然ガスや液化石油ガスに、意図的に「臭いを付ける」ことです。

 

これにより、ガスによる爆発や、中毒を防ぐことができるというメリットがあります。

 

 

この具体的な知識を、実際に抽象化して、抽象化の意義を再認識してください。

 

まずは、自分の頭で、上記の「付臭」という知識を抽象化して、本質をつかんでみてください。

抽象化のポイント1

やってみましたか?早速、解答に移りたいと思います。

 

「付臭」はつまり、

 

「元々は臭いの無い物質に臭いをつけることで、臭いに気づけるようにした」ということです。

 

これを抽象化していきます。

 

すると、元々、なぜガスに気付けないのか、という所に着目すると、それは「目に見えない」からです。

 

ガスは、目に見えないからこそ、気づきにくいのです。

 

したがって、付臭を抽象化すると、

 

「視覚で認識できない物質を嗅覚で認識できるようにする」

 

となります。

 

どうですか?正確に抽象化することができたでしょうか?

 

「ガスににおいをつける」という知識を抽象化することで、

 

「視覚で認識できない物質を嗅覚で認識できるようにする」という抽象的な知識が得られました。

 

これにより、例えば、目が不自由な人のために、特徴的な臭いを付けることによって、

 

危険な存在に気づけるようにする、などのこれまでに無いアイデアを思いつきやすくなります。

抽象化のポイント2

また、「視覚で認識できない物質を嗅覚で認識できるようにする」は、少し抽象化のポイントをずらすと、

 

「ある生物に対して、視覚ではなく、嗅覚で存在を気付かせる」というように抽象化できます。

 

同じように見えるかもしれませんが、何が違うかというと、「同じ物質」でなくてもよい、ということです。

 

「視覚で認識できない物質を嗅覚で認識できるようにする」は、「ある特定の物質」に着目していますが、

 

「ある生物に対して、視覚ではなく、嗅覚で存在を気付かせる」は、「ある特定の生物」に着目しており、

 

「ある生物に対して、視覚ではなく、嗅覚で存在を気付かせる」では、「ある特定の物質」に気づいてもらう必要はありません。

 

例えば、Aに気付かせるために、Aに何かを付加してA´

 

 

これにより、有害な動物を追い払うアイデアを出す際に、対象となる動物が視覚的に嫌がるようにして、「視覚で追い払う」というアイデア以外にも、

 

対象となる動物を「嗅覚」を通して追い払う、などのアイデアを出すことができるようになります。

 

この発想は、「視覚で認識できない物質を嗅覚で認識できるようにする」という抽象的な知識からだと、思い付きづらいと思います。

 

このように、抽象化のポイントを変えることによって、同一の具体的な知識から、複数の抽象的な知識が得られるようになります。

抽象化のレベル

次に、この「付臭」の抽象化のレベルを変えることによって、抽象度の高い知識を得てみましょう。

 

「視覚で認識できない物質を嗅覚で認識できるようにする」

 

「ある生物に対して、視覚ではなく、嗅覚で存在を気付かせる」

 

という抽象例がこれまでに出てきましたが、これらの抽象度をさらに上げてみましょう。

 

 

これらは、「視覚」と「嗅覚」の関係がメインですが、この二つの抽象度を上げると、

 

「五感」になります。

 

それにより、

 

上記の二つは、

 

「ある五感で認識できない物質を、別の五感で認識できるようにする」

 

「ある生物が気づかない五感と別の五感で、存在を気付かせる」

 

とさらに、抽象化のレベルを上げることができます。

 

これによって、本当に幅広いアイデアが出せるようになることは明らかだと思います。

 

五感は、「視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚」の五つがあるので、元の抽象化のレベルよりも、はるかに広い範囲の物事において、発想することができるようになるのです。

 

これが、抽象化の威力です。

 

 

知識を得る際には、そのまま知識を脳内に入れるのではなく、上記のように、抽象化のポイントや、抽象化のレベルを変化させることによって、

 

はるかに応用の効く知識を得ることができるようになります。

 

大量に本を読んでいるのに頭が良くないな、という人を見たことがありませんか?

 

そういう人は、抽象化ができていないので、大量の本を読んでいても、知識を膨らますことができず、応用の効く知識量が少ないのです。

 

逆に、本なんて全然読まないのに頭が良い、という人もいますが、そういう人は、外部から得ている情報量自体は少ないのですが、

 

その

少ない情報を自分の中で抽象化して膨らませているので、応用の効く知識量が多く
、頭が良く見える、という訳です。

 

 

この抽象化の能力の有無によって、真に頭が良い人間と、それ以外の人間とが大きく分けられます。

 

「一を聞いて十を知る」という言葉がありますが、その本質がまさに、この「抽象化の能力」なのです。

 

「一を聞いて十を知る」ことができる人は、この抽象化を行うことができている、ということです。

 

抽象化をして、同じ知識からでも、より多くの知識を得ることができている、ということなのです。

 

日常で知識を得ていく際には、常に、抽象化を心掛けるようにしてください。

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