将棋と頭の良さ 記憶力について

将棋と頭の良さについてお伝えしたいことがあります。

 

将棋は十数ある駒の動きを正確に把握し、

 

何十手先まで読み取る能力が必要とされます。

 

そのため、将棋が強い人は凄まじい頭脳を持っているかのように見えますが、

 

彼らが他の頭脳的な分野で活躍しているという話はあまり聞いたことがないと思います。

 

なぜなら、将棋での頭の使い方と、その他の分野における頭の使い方は全く異なるからです。

 

どこがどう違うか、詳しく解説していきましょう。

 

 

・将棋と記憶力

 

プロ棋士の中には、最初から最後までの将棋の棋譜を、一度で覚えることができる人がいます。

 

そういう人を見ると、どれだけ優れた記憶力を持っているのだろう、と思う人が多いでしょうが、

 

この記憶力は、主に将棋に対してだけ発揮されるものです。

 

もちろん、プロ棋士の中には、元から記憶力がかなり高い人が多いのですが、

 

駒の配置と動きのパターンを脳内にストックすることで、

 

こういう配置なら、次はこれしかありえない、という形で推測できるので、

 

記憶量を大幅に減らすことができるという訳です。

 

 

つまり、ポイントだけを覚えて行くことで、その間の動きを補完している、ということです。

 

一連の駒の動き、A~Gを記憶するとします。

 

その際、AからGまで最も効率よく打つにはこうこうだから、という感じで、

 

AからB、BからC・・・という形で順々に導いていくため、

 

間のB~Fを思い出すことができるという訳です。

 

大量のパターン記憶が無い限り、この記憶力は発揮できません。

 

 

プロは素人との棋譜(将棋をどう打ったかの記録)ほど、記憶することができません。

 

非合理的な駒の動かし方をするので、駒の動かし方を記憶することができないという訳です。

 

また、ルール上あり得ない配置に並べた場合も、記憶力は格段に下がります。

 

プロ棋士が将棋において発揮する絶大な記憶力は、

 

莫大な時間をかけて、データベースを構築したからこそ生じた記憶力であって、

 

その他の分野でこの記憶力を発揮することはできないのです。

 

 

もっとも、将棋が強い人は、元々の記憶力が圧倒的に優れていることが多いので、

 

他分野においても、高い記憶力を発揮しやすい傾向にありますが。

 

(傾向にあるとは、嫌いな分野では記憶力が落ちるからです)

将棋と頭の良さ 思考力

・思考のタイプの違い

 

将棋が強いと、思考力が凄い、と思われがちですがそんなことはありません。

 

将棋における思考は、一般的な思考とタイプが大きく違います。

 

大量の駒の動きを先まで正確に読む必要があるので、凄まじい思考力があるように見えますが、

 

将棋で使う思考は、「平面における位置関係」の思考です。

 

思考は、ほとんどの場合、言語によって行われているのですが、

 

平面空間内で、駒がどこにあるか、どう動かすか、という思考なので、

 

将棋では言語を用いないので、一般的な思考力が優れているかは大きな疑問が残ります。

 

 

それならば、空間的な思考が優れているのではないか、と考える人もいるかもしれませんが、

 

空間的な思考力が優れているかどうかも分かりません。

 

将棋は「平面」空間における「駒」の位置関係の思考です。

 

立体空間の思考力は分かりませんし、

 

ある程度以上複雑な物質の平面における思考力も分かりません。

 

チェスなどのよく似た種目なら、将棋で用いる思考の方法を応用することが可能かもしれませんが、

 

将棋が強くても、その他のほとんどの分野において、思考力が高い保証にはなりません。

 

 

 

将棋における思考は、ほとんどの場合に用いられる「言語」を用いない、

 

という点以外にも、知識のタイプの大きな違いがあります。

 

将棋の知識と、その他の一般的な場合の知識の大きな違いは、

 

将棋の知識は抽象化しなくて良い、ということです。

 

抽象化の能力とは、情報から不必要な情報を省き、本質を取り出す能力です。

 

将棋は、そのそれぞれの駒の動きは完全に決まっており、情報を抽象化する必要がありません。

 

一般的な知識は、複雑に絡み合い、何が大切な情報か念入りにチェックしていく必要がありますが、

 

将棋の知識は、それ以上でも、以下でもない、極めてシンプルな形です。

 

そのため、将棋が強くても、抽象化の能力が全然ない、という人がいるのです。

 

将棋の知識と違い世の中にある知識は、はるかに複雑でかつ正しいもの、間違っているものが玉石混交の状態なので、

 

抽象化の能力がないと、質の悪い知識しか集まりません。

 

そうなると、思考するためのパーツである知識の質が低く、まともな思考ができません。

 

 

 

以上、将棋における頭の使い方と、一般的な問題解決における頭の使い方の違いを解説してきました。

 

何か一つの知的能力が優れていると、全ての能力が優れているかのように錯覚する人が多いですが、

 

それぞれの分野で、それぞれのメカニズムで能力が発揮されているのです。

関連ページ

会話の上手い人は頭が良いか?
会話の上手い人は頭が良いか、というテーマで議論していきたいと思います。会話の上手さは、どのような能力に起因するものなのでしょうか?
頭の良い人は変人?
頭の良い人は変人、という意見があらゆる所で古来、よく言われています。実は、頭の良い変人には、2タイプあります。全く別の理由によって、2タイプの頭の良い変人が生まれるのです。
アイデアとMECEの関係
アイデアとMECEの関係について解説します。ロジカルシンキングについて、型にはまった発想しか出せない、と思っていらっしゃる方がいますが、ロジカルシンキングこそが、アイデアを出すための最高野方法です。
高学歴な人が頑固な理由
高学歴な人が頑固な理由について。高学歴な人は、圧倒的に頑固な人が多いです。その理由には様々なものがありますが、とくに「脳の使い方」に着目して考察して行きます。
売れる箸を論理的に発想してみよう
売れる箸を論理的に発想してみましょう。ロジカルシンキングのトレーニングとして、MECEなどを活用して、売れる箸を発想してみましょう。
代表的なMECEの切り口 フレームワーク
MECEを行う際の、代表的なMECEの切り口をフレームワークと言います。フレームワークは、便利ですが、使い方を誤ると、ロジカルシンキングができなくなってしまいます。正しいMECEのためのフレーム ワークを学びましょう。
MECEの例題・具体例 MECEの練習
実際に、MECEの具体例を通して、MECEの方法を理解してみましょう。実際に色々な事柄についてMECEにすることで、論理的な思考ができるようになります。MECE例題「ペットボトル飲料」
MECEの具体例・MECEの切り口を見つける練習
MECEの切り口をいかに見つけるかを、問題解決の具体例を通して理解していきましょう。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストについて詳しく解説。オズボーンのチェックリストは、チェックリストを用いて、アイデアを発想する方法です。このオズボーンのチェックリストの問題点についても述べていきます。