メンタルマジックを論理で解いてみよう 問題編

問題解決のトレーニングとして、メンタルマジックを論理で解いてみましょう。

 

 

Q.

 

マジシャンが右手を開くと、そこには

 

「赤いダイスが3つ、青いダイスが1つ、合計4つのダイス」が乗っています。

 

そして、4人の客A、B、C、Dがいます。

 

 

マジシャンはその4つのダイスを右手で持ち、

 

左手で持っている、不透明な袋の中に「4つのダイス全て」を入れて、よく袋を振って混ぜます。

 

マジシャンはそのまま袋を差し出し、

 

客に袋の中に中を見ないように手を入れさせて、ダイスを一つずつ順に握らせていきます。

 

マジシャンはこう言います。

 

「袋の中に手を入れて、どのダイスにするか十分に迷ってから選ぶようにしてくださいね」

 

 

A、Bにダイスを握らせた後、マジシャンはその袋をそのままBに渡し、

 

CはBが持っている袋に手を入れダイスを握り、Cはもう片方の手で袋を受け取ります。

 

最後に、DはCが持っている袋に手を入れダイスを握ります。

 

Dが袋の中をのぞくくと、確かにダイスは1つも入っていません。

 

 

この状態で、マジシャンは4人のダイスを握った拳の上に手をかざしていきます。

 

そして、

 

「手を開いてください」

 

と言って、順に手を開かせていくのですが、全て赤いダイスです。

 

最後に残った一人の手を開かせると、見事、青いダイスが姿を現します。

 

マジシャンは、誰の手に青いダイスがあるのかを特定することができたのです!

 

 

さて、ここで問題です。

 

「4人の客にダイスを握らせた後、100%の確率で、青いダイスを特定する」にはどのようにすれば良いでしょうか?」

 

上記の文章の情景を良く頭に思い浮かべて、論理的に考えてみてください。

 

 

※客にサクラはおらず、全ての道具に「機械的な」仕掛けは全くないものとします。

 

例えば、ダイスにGPSのような物が仕込まれており、マジシャンがレーダーで青いダイスの位置を把握できる、

 

などのトリックでは無い、ということです。

メンタルマジックを論理で解いてみよう 解答編

それでは、解答です。

 

A.

 

青いダイスを誰が持っているかを特定するためには、

 

もちろん、青いダイスが袋に入ったままの状態では不可能です。

 

ダイスが残り2つの状態、2個のうち一つが赤、1つが青いダイスでも、CかDのどちらが持っているかを当てることができません。

 

CとDが青いダイスを持っている確率はそれぞれ50%で、100%の確率で当てることはできません。

 

それでは、どうすれば良いのかと言うと、もちろん、「青いダイスが入っていない状態」にすれば良いです。

 

袋の中に入っているのが全て赤いダイスであれば、100%、赤いダイスを握ることになります。

 

 

しかし、マジシャンのセリフ「袋の中に手を入れて、どのダイスにするか十分に迷ってから選ぶようにしてくださいね」

 

があるので、青いダイスだけを袋から抜きとるだけでは、ダイスの数が少ないことがバレてしまいます。

 

ですので、青いダイスを抜き取ったら、元の3つと同じ赤いダイスを一つ袋の中に入れる必要があります。

 

この作業は客にダイスを握らせる前にやる必要がありますから、最初にAに握らせる前に、

 

青いダイスと赤いダイスをすり替えておく訳です。

 

しかし、最終的には誰か一人が必ず青いダイスを握らなくてはならないため、

 

途中で青いダイスを袋の中に入れて、それと同時に赤いダイスを抜き取る必要があります。

 

これを行うのは、青いダイスを特定する確率を上げるためには当然、できるだけ遅いタイミングの方が良いです。

 

 

Bにダイスを握らせた後は、Bに袋を渡すことになるので、マジシャンはダイスの入れ替えを行えません。

 

ですので、ダイスの入れ替えの最適なタイミングは、Bがダイスを握った直後と確定できます。

 

そうすれば、A、Bは100%赤いダイスを握っており、青いダイスを握るのはCかDとなります。

 

しかし、その後マジシャンは袋に触れることは無いため、CかDに絞れても、

 

どちらが青いダイスを握っているかを50%の確率でしか当てることはできません。

 

したがって、最後に残った一人の手に青いダイスがある、という状況を作りだすことは不可能となるわけです。

メンタルマジックを論理で解いてみよう 解答編・続

それでは、「4人の客にダイスを握らせた後、100%の確率で、青いダイスを特定する」ことは不可能なのでしょうか?

 

いえ、そんなことはありません。

 

「青いダイスを特定する」ことはできます。

 

 

ここで最終的な解答に行く前に、ヒントを出してみたいと思います。

 

ヒント:このメンタルマジックの特定の方法は「2パターン」あります。

 

それでは、このヒントを元に、もう少し粘ってみてください。

 

 

 

 

それでは、最終的な解答です。

 

さて、先述の通り、確率を50%までには挙げることはできましたが、

 

それでも100%には達しませんでした。

 

ここで、マジシャンが確率を上げるためにできる「行動のタイミング」を考えていきます。

 

すると、タイミングは、

 

「Bに袋を渡す前まで」

 

と、

 

「青いダイスを当てる演出時」の2つしかありません。

 

先述の通り、「Bに袋を渡す前まで」には、マジシャンは

 

50%までしか確率を上げることはできません。

 

ですので、100%にするためには、

 

「青いダイスを当てる演出時」

 

に確率を上げるしかありません。

 

そこで、当てる演出について分析してみます。

 

「青いダイスがマジシャンに特定された」と客が感じる演出を考えてみると、

 

問題文にある「最後の一人が握っている」

 

がありますが、

 

当然、もっとシンプルな当て方の「青いダイスを持っている人を直接指し示す」

 

もあります。

 

 

 

「青いダイスを当てる演出時」に

 

まずCに手を開くように言います。

 

そして、Cが手を開き、

 

青いダイスが現れば、青いダイスを特定できた、ということで、そのまま演技を終わります。

 

もし、Cが赤いダイスを握っていれば、

 

そのまま100%赤いダイスを握っていることが分かっているA、B、に手を開くように促せば、青いダイスを握っているただ一人の人物であるDだけが残るわけです。

 

以上の流れを行えば、マジシャンは

 

「4人の客にダイスを握らせた後、100%の確率で、青いダイスを特定する」

 

ことができるのです。

メンタルマジックを論理で解いてみよう 総括

この問題は、ロジカルシンキングができれば、何の特殊な知識もなく、解くことができる問題ですが、

 

ほとんどの人が解くことができない、やや難し目の問題です。

 

 

この問題を解くための山場は2つあります。

 

1.ダイスの入れ替えに気付くことができるかどうか

 

2.ダイスの特定方法が2パターンあることに気付くことができるかどうか

 

 

ダイスの入れ替えに気付くことができるかどうかは、全員に気付いて欲しいポイントです。

 

マジシャンはその4つのダイスを右手で持ち、

 

左手で持っている、不透明な袋の中に「4つのダイス全て」を入れて、よく袋を振って混ぜます。

 

の部分で、「右手」、「左手」を明示したり、「4つのダイス全て」とわざわざ書いているのは、

 

「袋には青いダイスが確実に入っている」と伝えるためです。

 

また、わざわざ※で「機械的な」と鍵括弧付きで書き、

 

さらに袋を調べさせたとは一言も書いていません。

 

さらに、「A、Bにダイスを握らせた後、マジシャンはその袋をそのままBに渡し」と書くことで、

 

マジシャンがトリックを仕込むことができるタイミングを限定し、問題を解きやすくしています。

 

1については、かなり大量のヒントを出しているので、ダイスの入れ替えに気付け無かった人は

 

もっとロジカルシンキングのトレーニングを頑張る必要がありますね。

 

 

ダイスの特定方法が2パターンあることに気付けるか、については、

 

「4人の客にダイスを握らせた後、100%の確率で、青いダイスを特定する」にはどのようにすれば良いでしょうか?」

 

と書いています。

 

「順に手を開かせていき、最後の一人が青いダイスを100%握っているようにするにはどうすれば良いでしょうか?」

 

ではないのです。

 

わざと上記のような文言にすることで、

 

青いダイスの特定方法は1パターンではない、ということの大きなヒントになっているのです。

 

 

ヒントをたくさん出しているとは言え、この問題は難度はやや高めなので、解けた方は自分のロジカルシンキングの力に自信を持って良いです。

 

解け無かった人は、自分はどこで「つまづいたか」をよく分析してください。

 

その「つまづき」が、あなたの思考の傾向を如実に示しているからです。

 

 

一つ、例を示してみましょう。

 

1の「ダイスの入れ替えに気付くことができるかどうか」で「つまづいた」人のほとんどは、

 

「余分の赤いダイスの存在」に気付けなかった人です。

 

そのような人は、この問題以外の問題でも、「自分の範囲で処理する傾向」にある危険性が高いです。

 

自分の目に見える範囲、自分の知っている範囲の知識で問題解決をする傾向が強いので、

 

「問題解決する上で未知の情報を調べる習慣」を付ける必要があると気付けます。

 

 

 

人間、誰しも「思考の傾向」、簡単な言葉に直すと「好きな頭の使い方」があり、それにより論理的な思考が妨げられてしまいます。

 

自分の思考の傾向を見極め、自分の脳を適切に制御し、ロジカルシンキングの力を鍛えて行きましょう!

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