第六感の正体 後知恵バイアス

第六感の正体について解説していきたいと思います。

 

第六感(だいろっかん、sixth sense)とは、基本的に、五感以外のもので五感を超えるものを指しており、

 

理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働きのことである

 

とwikipediaにはあります。

 

 

しかし、第六感のほとんどは、

 

「五感のいずれかまたは複数の五感」

 

です。

 

正確に言うと、

 

「他人より優れた五感」

 

または

 

「五感の無意識の記憶」

 

です。

 

「他人より優れた五感」を持っている人間ならば、

 

ある五感を使い続けてきた人間は、他人よりも優れた五感を獲得できることがあるでしょう。

 

それにより、他人が気付かないことに気付ける可能性があります。

 

例えば、盲目になった人が、視覚が使えなくなったことにより、触覚が発達し、

 

点字を読み取れるようになるなどがあります。

 

また、盲目の人の中には、指先だけではなく、全身の触覚が発達して、

 

風の流れを感じとることができ、開けている道を探知できる人もいるそうです。

 

 

また、五感そのものの能力は普通でも、

 

「五感の無意識の記憶」によって、「普段との違い」に敏感に気付くことができるでしょう。

 

例えば、

 

刑事ものなどで、熟練の刑事が「これは毒殺だな・・・」のような感じで、死因を当てる描写があります。

 

現場からは他の人たちには全くそのようなことは分からないのにも関わらず、なぜか当てることができるのです。

 

これは、第六感のように見えますが、おそらく「嗅覚」による推測でしょう。

 

長年の現場経験から、「毒殺された死体」に何度も遭遇することになり、

 

その結果、「毒殺された死体特有の臭い」を無意識のうちに記憶しており、

 

その臭いを死体から無意識のうちに嗅ぎ取り、「毒殺」だと推測できた、ということです。

 

 

 

続いて、

 

第六感のほとんどが「他人より優れた五感」または「五感の無意識の記憶」

 

であることについてより深く理解するために、第六感の有名なエピソードを分析してみましょう。

第六感の有名なエピソード

第六感の有名なエピソードとして、消防士の副隊長のエピソードがあります。

 

このエピソードは、心理学者であるゲーリー・クラインの著書「決断の法則」で紹介されたものです。

 

 

消防隊は、ある一軒家のキッチンで消火活動をしていました。

 

燃えているのは家のキッチンの裏手あたりです。

 

消防ホースで火に向かって放水しても、火の勢いは強まるばかり。

 

何かが変だと副隊長は感じはじめ、具体的な手掛かりは何もないが、

 

「このまま、この家にいてはまずい」という第六感がはたらいて、

 

外に出るように部下に指示したそうです。

 

副隊長が部下たちと共に外に出た直後、床が崩れ落ちたのです!

 

そのまま消火活動を続けていれば、消防隊員たちは床下に墜落して重症を負うか、死亡していたでしょう。

 

副隊長は、その家に地下室があることなど知らなかったのにも関わらず、第六感によって皆を救ったのです!

 

このエピソードを、

 

「他人より優れた五感」または「五感の無意識の記憶」

 

にどう当てはまるか分析してみましょう。

 

 

・視覚

 

炎の燃え方が違ったのかもしれません。

 

酸素濃度が違ったり、温度が高かったりすれば、火災規模に対する、炎の燃え方も変わってくるでしょう。

 

一般人が気付かない程度わずかに炎の高さが高かったりしたかもしれませんね。

 

もしくは、炎の揺れ方が違ったのかもしれません。

 

 

・聴覚

 

普段と炎の燃えるパチパチという音が違ったのかもしれません。

 

もしくは、周囲の物が燃える音が違ったのかもしれませんね。

 

または、温度によって音の伝わる速さは変わるので、それに気付いたのかもしれませんね。

 

 

・触覚

 

普段よりも温度が高かったのかもしれません。

 

それを靴から伝わる熱によって感じ取った可能性があります。

 

燃え方や、燃える場所によって、部屋の温度が炎に対して不自然に高かったなども考えられるでしょう。

 

その他、湿度などの違いを触覚で感じとったのかもしれません。

 

 

・嗅覚 

 

普段と現場の匂いが違ったのかもしれません。

 

ある一定以上の速度で燃えると、物が焼ける臭いが変わるのかもしれません。

 

酸素濃度により、嗅覚の機能の違いが生じるのかもしれません。

 

 

・味覚

 

味覚はあまり関係がなさそうですが、煤(すす)の味が普段と違う、というのはどうでしょうか。

 

鼻から吸い込んだ煤が口に入りその味が違うことが一応考えられます。

 

消防士のマスクがどの程度の性能か分かりませんが、

 

調べた所、この本の日本語版の出版日が1998年09月なので、

 

このエピソードはそれよりも古く、マスクの性能が低く煤が口に入り込む可能性はあるかもしれませんね。

 

因みに、このような時代による様々な物の機能の違いに着目することは非常に重要です。

 

現代の機能からの思い込みで、思考が至らないことがしばしばあるからです。

 

 

 

以上の事柄に、副隊長は

 

「他人より優れた五感」または「五感の無意識の記憶」

 

によって気付いたことが考えられます。

 

 

 

このエピソードもそうですが、

 

古今東西の第六感、超感覚的知覚のエピソードはほぼ全て、

 

「他人より優れた五感」または「五感の無意識の記憶」によって説明がつきます。
(「ほぼ」としたのは、存在しないことの証明は極めて困難だからです)

 

 

さて、今回の「第六感」のテーマで何を伝えたかったのかと言うと、

 

理解できないことがあっても、思考停止せずに、自分の頭で考える習慣をつけましょう、ということです。

 

「世の中には不思議なこともあるものだなぁ」と言っていては、論理的思考能力は身に付きません。

 

「第六感」などといった言葉で問題解決した気になっては駄目なのです。

 

今、自分にある「知識」と「思考」で可能な限り考える習慣をつけてください。

 

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