記憶力の高さが必要ない理由

記憶力の高さが必要ない理由を解説していきます。

 

記憶力が高いことを無批判に称賛する人が多いですが、

 

「現代において」は、記憶力はほとんど必要ありません。

 

 

思考は知識の組み合わせによって行われ、その正しい組み合わせ方を「論理的思考」と言います。

 

そのため、記憶力が良い方が、「知識の量」が増えるため、思考の範囲が広くなるように思えます。

 

しかし、思考に必要な知識の量は、ごくわずかで、99.999・・・・・%の知識は不要です。

 

では、どのような知識が必要なのかというと、

 

「本質の知識」

 

 

「検索に必要な知識」

 

です。

 

本質とは、物事の最も重要な所、無駄なもの、本質と関係ない部分を取り除いて残った部分です。

 

この世の全ての知識を記憶することは不可能ですが、「本質の知識」にしぼって記憶すれば、

 

本質の知識はごくわずかなので、記憶することができる、ということです。

 

 

本質の知識のままでは、実際のアクションに結び付きませんが、

 

実際のアクションを起こす場合には、「その本質を内包する具体例」を探し出せば良いのです。

 

具体例を覚えていなくても、必要な時は、具体例を「インターネットの検索エンジンで検索すれば良い」のです。

 

検索エンジンで検索するための知識であれば、完全に具体例を記憶している必要は全くなく、

 

断片的な知識、元の情報量のわずか数%程度の情報からでも必要とする知識にたどり着くことができます。

 

 

記憶力が高くても、所詮、この世の情報を全て記憶することなど不可能で、

 

人間個人の記憶力の差など、この世の情報量の前では0に等しい

 

ということです。

 

 

また、記憶力に頼って問題解決している人は、歳を取るにつれて、能力が下がってきます。

 

なぜなら、加齢とともに、記憶力は低下していくものであり、知識の蓄積が知識の漏出に追いつかなくなってくるからです。

 

記銘力(覚える力)、保持力(記憶を維持する力)、想起力(記憶を正確に思い出す力)は、

 

人によって個人差がありますが、加齢によって低下していきます。

 

一方、記憶力に頼らず、思考によって情報を抽象化し、本質の知識だけを記憶していっている人は、

 

歳を取っても、元からごくわずかな「記憶力」しか使用していないため、問題解決能力は低下しにくいですし、

 

本質の知識量をさらに増やして、問題解決能力をさらに向上させていくこともできます。

 

記憶力が重要だった時代

「記憶力」が重要だったのは、はるか昔、印刷技術が低かった時代です。

 

希少な本を、皆で回し読みする必要があった時代、同じ本を作るためには、手作業で書き写していたような時代です。

 

よほどの金持ちな人間でない限り、本を大量に所有することは難しかったでしょう。

 

一人当たりが本を借りて入られる時間は短いので、数回読んだだけ本の内容を記憶できることが、必然的に、優秀な人間になります。

 

本以外で学ぶ方法としては、教師から口頭で学ぶのがメインです。

 

記憶力が低いからと言って、口頭の内容を何度も繰り返し訊くことは難しいので、

 

口頭で学んだ内容を、その場で記憶できることが非常に重要だったでしょう。

 

そういう時代だったので、記憶力が重視されていたのも当然で、この背景の元で、各国で様々な受験制度が作られました。

 

思考する以前に、「思考のためのパーツである知識を頭に入れる段階」で、記憶力の高い人間が優位に立っていました。

 

 

このように、インターネットが発達していなかった時代においては、

 

本質の知識を得る能力があった人でも、「検索エンジン」が無かったので、満足の行く成果を上げることが難しかったです。

 

発想をしても、検索するのに莫大な時間がかかってしまうからです。

 

そのため、記憶力の高さが、色々な物事の発想において前提として必要な能力でした。

 

どの本に書いてあった情報か、ということを正確に記憶できる人でないと、情報の検索作業がなかなか進みません。

 

その結果、問題解決の速度が遅くなってしまいます。

 

 

 

しかし、現在では、「検索エンジン」があります。

 

いくら記憶力が良い人間でも、頭にストックできる知識量は、検索エンジンから得られる知識量に比べると、微々たるものでしかありません。

 

現代においては、莫大な情報の中から、必要な情報を探し出して使いこなす能力こそが最も大事です。

 

記憶力は印刷技術のなかった時代ほどは必要ありません。

 

どんな情報が必要か、どんな方法で、どんな媒体で調べれば良いか、という能力が必要で、

 

以前のように、調べた後に出てくる情報そのものを記憶する必要は無いのです。

 

 

それにもかかわらず、多くの教育機関で、単純な知識量が偏重されています。

 

各種受験制度ができ始めた頃とは、状況が全く異なっているにも関わらず、です。

 

情報端末に全くアクセスできないという、摩訶不思議な条件下での知識量が競われています。

 

真に必要な知識は、「本質の知識量」と「検索に必要な知識量」であって、

 

「知識の量」ではありません。

 

知識の量がいくらあっても、本質でない知識は組み合わせることができないため、思考に使うことができません。

 

記憶力の低い人でも、本質の知識を選別して記憶して行けば良いので、記憶力の高さは必要ないのです。

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