記憶力の高さと思考力の高さは反比例する
記憶力と思考力は反比例すると言えます。
このことについて解説していきましょう。
記憶する、というのは、私たち人間が生まれてきてから最初に行う学習方法です。
親の行為を真似する、同じ単語をオウム返しに発音するなど、
人間が一番最初に行う学習方法が記憶です。
最初から「思考」している人間などいません。
しかし、この物真似による学習方法は、やがて限界を迎えます。
成長するにつれ、色々なシチュエーションに遭遇する確率が上がって行きます。
すると、知識を組み合わせた結果の記憶を使った方法では限界が出てきます。
知識を組み合わせて思考する必要が出てくるわけですね。
これが思考の始まりです。
しかし、ここで思考をしなくても良い集団が存在します。
それが、「記憶力の高い人々」です。
普通の人では、「知識を組み合わせた結果」を記憶することは記憶の容量が大容量になってしまうので、
元となる知識を組み合わせて、組み合わせのヴァリエーションを増やす、つまり思考力を高める必要が出てきます。
思考は「知識の組み合わせ方」ですが、
記憶力が良い人は「知識を組み合わせた結果」を記憶することができます。
つまり、自分で知識を組み合わせることができずとも、「知識を組み合わせた結果」を記憶すれば良いのです。
こちらの方が、はるかに時間がかからず、楽に記憶することができます。
現在の所、記憶力の良し悪しは何によって決定されるのか明らかにはされていませんが、
普通の人が記憶容量が足りなくなって、思考による問題解決に移行しなくてはならなくなるタイミングでも、
記憶力の高い人々は記憶力の高さを生かして、「知識を組み合わせた結果」を記憶していくことができます。
こうして、記憶力の高い人は、思考する必要がないため、思考力が伸びて行かないのです。
そして、思考を伸ばす方向に移行しなかった人こそが、学校の勉強が得意になっていくのです。
学校の勉強と言うと、高い思考力が必要だと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
記憶力に頼らないと、「制限時間内に解くことができない」からです。
思考、つまり「知識を組み合わせる」方法は、
唯一にして最大の弱点として、「時間がかかる」という欠点があります。
そのため、厳しい制限時間内に問題を解かなければならない受験においては、
「知識を組み合わせた結果を思い出す」という、記憶力による方法でないと満足な点数をとることができません。
子どもの時から特に努力をしなくても、学校の勉強が得意という人は、
思考力はほぼ0に近いです。
記憶力が高ければ、先述の通り、わざわざ思考によって問題を解く必要がありません。
論理的に思考するのは大変ですし、論理的に思考しても学校の勉強は満足にできないのですから。
以上が、記憶力の高さと思考力の高さが反比例する理由です。
社会人になり、より様々なシチュエーションの問題に遭遇するようになると
記憶力に頼っていた人々は、通用しなくなってきます。
学校のお勉強では、出題範囲というものがあるので、
「知識を組み合わせた結果を覚える」という方法でも、それほど大きな記憶量にはなりませんが、
現実世界においては、発生するヴァリエーションが多過ぎて、問題解決のパターンを記憶することができません。
記憶力が良くても、悪くても、全く記憶容量が足りません。
では、どうすれば良いかというと、インターネットなどの検索装置を使えば良いです。
検索装置を使って、問題を解くのに必要な情報は何かを導き出して検索すれば、前もって情報を大量に覚えておく必要はないのです。
しかしながら、記憶力が高く思考力が低い人は、それまでに「知識を組み合わせた結果を思い出す」という方法に依存しているので、
なかなかこの方法ができるようになりません。
学校の勉強が得意でなかった人の方が、この方法を取っている確率が低いため、社会で活躍できる可能性が高いのです。
一方、記憶力が高く、学校のお勉強が得意だった人々は、非常に高い確率で、思考力がほとんど養成されていません。
これが、高学歴な人が馬鹿だらけの理由です。
物事を一から考える能力が乏しいので、マニュアル化されたこと、教えられたこと以外、満足にこなすことができないのです。
この問題点にできるだけ多くの人が気づいて、一刻も早く、記憶力偏重の学力判定テストを廃止して欲しいものですね。
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